日本に入国し滞在する全ての外国人は、「出入国管理および難民認定法」(以下入管法と省略する)という法律によって、在留中の活動内容や手続きの仕方が細かく定められています。
また、それぞれの滞在目的にしたがって、「在留資格」と「在留期間」が定められています。
しかも、各々の「在留資格」には活動できる内容が厳格に規定されています。
入管法で定められた手続きを怠ったり、規則に違反したり、許可なく収入を伴う活動などの資格外活動をしたりすると、退去強制処分を受けたり、在留の期間更新や資格変更の申請が不許可になったりすることもあり、留学生活を継続できなくなることもありますので十分注意が必要です。
病気などのやむを得ない理由がないのに学校の出席率が低かったりすると、勉学に専念していないと判断され、期間更新や資格変更が許可されない場合があります。
入国後の在留資格の手続きは、外国人登録をしている所在地にある地方出入国在留管理局で行います。
在留期間更新や在留資格変更について不安があったら、申請前に学校の窓口や外国人在留総合インフォメーションセンター、留学生相談窓口に相談してみましょう。
在留期間更新や在留資格変更の手続きをしないまま在留期限を過ぎてしまうと、「不法滞在者」として取り調べを受けます。
期間更新申請は在留期限の3カ月前からできますから、なるべく早く申請したほうがよいでしょう。
出入国在留管理局では、申請を一旦受理した上で、後日ハガキなどで審査結果を連絡します。
このため、許可を受けるためにもう一度入国管理局に行かなくてはなりません。
申請が受理されると在留カードに「申請中」のスタンプが押印されますので、後日出入国在留管理局より連絡があるまで待っていればよいです。
仮にその間に在留期限が切れても「不法滞在」にはなりません。
再入国許可がなく日本の国外に出ると、日本に戻る時に改めて「在留資格認定証明書交付申請」をし「入国査証(ビザ)」を得なければなりません。
しかし、1年以内の再入国について在留カードがあると再入国許可もあるとみなされるので、出国してから1年以内に再入国するのであれば、在留カードを旅券とともに提示するだけで再入国できます。
もし、日本への再入国が1年以上先になるときは、出入国在留管理局で再入国許可を受けてから出国します。
手数料3,000円(一回限り)、もしくは6,000円(数次)を支払い、再入国許可の証印シールを旅券に貼ってもらいます。
日本に在留する外国人は、全部で28種類ある在留資格ごとに定められた範囲でのみ活動(仕事)をすることができます。
日本の大学・大学院等で学んでいる留学生が日本で就職するためには、現在の「留学」の在留資格から「技術・人文知識・国際業務」等の就労可能な在留資格に変更することが必要になります。
なお、2015年4月から「技術」と「人文知識・国際業務」は統合され、「技術・人文知識・国際業務」になりましたが、それぞれの要件はそのままですので、分けて説明します。
母国語による語学指導や通訳、海外取引業務、広報、宣伝、デザイナー、商品開発のほか、人文科学や経済学などの知識を生かした仕事につく場合に必要となるビザです。
文系の大学や専門学校を卒業したあと日本の企業に就職した場合や、母国語を生かして日本の企業で語学指導をする場合に取得が必要となる場合が多い在留資格です。
人文知識・国際業務ビザ取得において基本的に要求されている条件・基準は次のとおりです。
技術ビザとは、理学、工学、ITなどのエンジニア(技術者)が日本の企業などに就職した場合に必要となる在留資格です。
理系の大学を卒業して日本で就職する場合や、理科系の有用な人材を海外から呼び寄せる場合に取得が必要となります。
技術ビザの取得に要求される要件は以下のものです。
「留学」から「就労」の在留資格への変更許可申請は、原則として外国人本人が最寄りの地方出入国在留管理局または同支局かそれらの出張所に出向いて行う必要があります。
変更申請を行う場合は、次の書類が必要となります。
※これら必要書類は就職希望先の企業によって異なります。
出入国在留管理局の審査では、就職先でのこれまでの在留経緯や活動内容が「技術・人文知識・国際業務」等としての在留資格に相当するかどうかがまず確認されます。
本人の学歴(専攻課程、研究内容等)その他の経歴から、相応の技術・知識等を有する者であるか、従事しようとする職務内容からみて本人の有する技術・知識等を活かせるようなものか、本人の処遇(報酬等)が適当であるか、雇用企業等の規模・実績から安定性・継続性が見込まれるものか、さらに本人の職務が活かせるための機会が実際に存在するか、審査の結果については申請当日ではなく、後日改めて郵送により通知されます。
審査をクリアするとあなたの就職に必要な在留資格が許可されます。
入管法関係手数料令の規定によって、在留資格の変更許可を受けた場合には4,000円を納付する必要があります。
(納付方法は4,000円の収入印紙を買って「手数料納付書」に貼付します。)
日本の短期大学、大学学部または大学院の卒業者、および専門士の称号を取得した専門学校(専修学校の専門課程)の卒業者で、卒業後も就職活動する人は、在留資格を「留学」から「特定活動」に変更して就職活動ができます。
期間は6か月ですが、6か月でも就職が決まらないときは、さらに更新して6か月(1回目と合わせて最長1年)の期間、活動することができます。(一定の条件を満たす場合、さらに1年間継続して就職活動が行えます。)
また、「特定活動」の期間中は資格外活動の許可を得てアルバイトもできます。
就職活動が終わり就職先が内定した後、入社まで数か月の待機期間があることがあります。
入社までの間も同じ在留資格「特定活動」なのですが、活動の目的が「就職活動」から「待機」に変わるため、変更の手続きを行います。
ただし、4月から入社予定の場合、前年の12月から「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザを申請できますので、内定が12月ごろであれば就労ビザの申請をしたほうがよいです。
なお、許可の通知は通常、申請から1か月以内に出ますが、出入国在留管理局に行って在留資格を就労に書き換えるのは3月の卒業後になります。
令和元年(2019)年5月30日の法務省告示の一部改正により「特定活動 46号」という新しい活動内容が追加され、日本の大学等を卒業し、高い日本語能力を有する人は、大学等で習得した広い知識・応用能力や高い日本語能力を活かせる仕事であれば、これまで就労が認められていなかった製造業等の現場勤務や飲食店、スーパー、コンビニエンスストアなどのサービス業の現場での就労が可能になりました。
「高い日本語能力を有する人」とは、①日本語能力試験N1又は②BJTビジネス日本語能力テスト480点以上を有する人、③日本の大学等で「日本語」を専攻して大学を卒業した人などです。
また、この特定活動での就労には、フルタイムの職員として日本人と同等以上の報酬額で雇用されることが必要です。
なお、46号特定活動取得者の扶養配偶者や子どもについても「特定活動」(47号)の在留資格で日常的な活動が認められます。